IRL ProとMoblinの設定方法:スマホをSRTLAサーバーにつなぐ
2026年10月09日 · 読了目安 2 分
目次
IRL Pro(Android)とMoblin(iPhone)は、カメラ映像をSRTまたはSRTLAで自分のサーバーに送れる無料の配信アプリです。どちらのアプリも、新しい接続を作ってサーバーアドレスとストリームIDを入力します。Wi-Fiとモバイル回線のように複数の回線をまとめたいときは、srt://ではなくsrtla://を使います。
どのスマホにどのアプリ?
選び方は簡単です。MoblinはiPhone用、IRL ProはAndroid用です。どちらもIRL配信向けに作られていて、SRTとSRTLAで送信でき、無料でインストールできます。以下は、開発元が2つのアプリについて公表している内容です。
| Moblin | IRL Pro | |
|---|---|---|
| プラットフォーム | iPhone、iPad、Mac。Apple Watch用のコンパニオンアプリもあり | Android(Google Play) |
| 料金 | 無料でオープンソース(MITライセンス)。購入できるのはアプリアイコンなど見た目のカスタマイズだけで、任意 | Google Playで無料 |
| プロトコル | RTMP、RTMPS、SRT、SRTLA、RIST、WHIP | SRTとSRTLAのボンディングに対応。Twitch、Kick、YouTube、任意のRTMPまたはSRTの配信先にも送信可能 |
| 動画コーデック | H.264/AVCとH.265/HEVC。最大4K、60 FPS | お使いのアプリバージョンの動画設定を確認してください |
| ボンディング | モバイル回線1本、Wi-Fi 1本、複数のEthernet接続を同時に使用可能。接続ごとにアップロード統計と優先度を設定できる | 複数の接続でSRTLAボンディング |
| アダプティブビットレート | SRT、SRTLA、RIST、RTMPに対応 | 自動ビットレートアルゴリズムと、配信中のビットレート調整 |
出典:GitHubのMoblinリポジトリとIRL Proのウェブサイト。どちらのアプリも定期的に更新されるため、メニュー名がここでの説明と少し違うことがあります。
サーバーで必要な情報
SRTまたはSRTLAで接続するには、アプリに3つの情報が必要です。ホスト(サーバーのアドレス)、ポート、ストリームIDです。多くのアプリは、これを1つのURLにまとめて受け付けます。たとえばsrt://<server>:<port>?streamid=publish:publish/<streamkey>&latency=2000のような形です。複数の回線をまとめるボンディングでは、srt://の代わりにsrtla://を使います。MoblinもURL欄に似た入力例を表示します。
アドレスの先頭にあるプロトコルで、送信方法が決まります。
- srt://は1本の接続で送信します。
- srtla://は複数の接続をまとめます。ただし、サーバーがSRTLA入力に対応している場合だけ動作します。
当社のIRL エンドポイントサーバーは、RTMP、SRT、SRTLAの入力に対応しています。注文するとカスタマーポータルにアクセスできます。ポータルでサーバーのリージョン(米国、ヨーロッパ、アジア、南米)を選ぶと、RTMPとSRTの接続情報が入ったボックスを確認できます。スタンダードプランなら、リージョンはいつでも切り替えられます。アプリには、SRTの情報からサーバー、ポート、ストリームキーを入力します。ストリームIDは、上の例のとおりpublish:publish/<streamkey>の形です。<streamkey>にはポータルのキーを使い、TwitchやYouTubeのキーとは別です。レイテンシーは2秒(2000 ms)をおすすめします。SRTのパスフレーズは必要ありません。ルーターのポート開放は不要です。スマホも自宅の配信ソフトも、サーバーに向けて外向きに接続するためです。
間違えやすい点が1つあります。TwitchやYouTubeのストリームキーは、スマホアプリには入力しません。スマホはサーバーに送信し、OBS Studioなどの配信ソフトがそこから映像を取得してプラットフォームに送ります。ストリームキーを入れる場所はOBSです。
iPhoneでMoblinを設定する
- Moblinをインストールします。App Storeから入手でき、アカウントは不要です。
- ストリームを作成します。「Settings」から「Streams」を開き、追加ボタンをタップします。セットアップウィザードには、自分のサーバー用の選択肢と、カスタムSRT(LA)の選択肢があります。どちらもURLの入力を求められます。
- URLを入力します。ポータルのSRT情報にあるサーバーアドレスとポートを貼り付けます。例:
srtla://<server>:<port>。ウィザードにはストリームID専用の欄もあります。ここに入力するとURL内のストリームIDが置き換わるか追加されるので、どちらに入力しても構いません。ストリームIDはpublish:publish/<streamkey>の形です。 - ストリームのSRT(LA)設定を開きます。レイテンシー、アダプティブビットレート、接続の優先度があります。優先度が有効なのはSRTLAだけです。
- 動画設定を確認します。コーデック、解像度、FPS、ビットレート、キーフレーム間隔(2秒)です。iPhoneでHEVCを使う場合は、アプリにオプションがあればBフレームをオフにします。おすすめは後述します。
- ストリーム一覧のトグルでストリームを有効にし、メイン画面から配信を始めます。
Moblinは、moblin://リンクから設定をインポートすることもできます。一部のプロバイダーは、このリンクで設定済みの構成を配布しています。
AndroidでIRL Proを設定する
IRL Proは公式サイトにマニュアルを公開していません。以下の手順は、サードパーティの設定ガイドで使われているメニュー名に沿っています。お使いのアプリバージョンと照らして確認してください。
- IRL Proをインストールします。Google Playから入手できます。
- 歯車アイコンから設定を開き、「Connections」を選んで、新しい(送信用の)接続を作成します。
- 名前とアドレスを入力します。接続に名前を付け、プロトコル、ホスト、ポートを含めたサーバーアドレスを入れます。例:
srtla://host:port。バージョンによって、プロトコル、ホスト、ポート、ストリームIDは別々の欄だったり、1つのURLだったりします。 - ストリームIDを入力します。形式はpublish:publish/<streamkey>で、ストリームキーにはポータルに表示されたものを使います。
- SRTの送信モードをCallerにします。接続するのはスマホからサーバーへで、その逆ではありません。
- レイテンシーを2秒に設定し(後述)、お使いのバージョンにオプションがあれば、キーフレーム間隔も2秒にします。保存して、メイン画面から配信を開始します。
自分のサーバーに配信するときは、TwitchやKick向けのクイックセットアップボタンは使いません。プラットフォームに直接送るためのボタンです。
Wi-Fi、モバイル回線などを使ったボンディング
SRTLAはSRTの拡張です。ドキュメントによると、複数のネットワーク回線でSRTのトラフィックを転送して、容量と冗長性を高め、ネットワークの状況に応じてトラフィックを動的に振り分けます。想定している用途は、ライブ配信でモバイルモデムをまとめて使うことです。これを使うには、受信側のサーバーがSRTLAに対応している必要があります。
- Moblinは、モバイル回線1本、Wi-Fi 1本、複数のEthernet接続を同時に使えます。SRT(LA)設定で、接続のオンとオフを切り替え、それぞれに1から10の優先度を付けられます。優先度が高い接続は、安定している間はより多く使われます。不安定な接続は、回復するまで最低の優先度になります。Moblinは接続ごとのアップロード統計も表示するので、複数の回線が実際に使われているか確認できます。
- IRL Proは、複数の接続でのSRTLAボンディングを機能として挙げています。Wi-Fiとモバイル回線を同時に使えるかどうかは、スマホとアプリのバージョンしだいです。実際に試してください。
- 追加のスマホ:無料のコンパニオンアプリMoblinkを使うと、余ったAndroidスマホをMoblin用の追加回線にできます。開発元は、予備のスマホには別のキャリアを使い、スリープしないよう省電力機能をオフにするよう勧めています。
外出前にできる簡単なテストがあります。配信を始めて、Wi-Fiかモバイル回線をしばらくオフにします。ボンディングが機能していれば、映像は止まりません。ただし、すべての回線が同じ場所で弱い場合は、ボンディングでも解決しません。同じネットワークの2回線より、別キャリアのSIMカード2枚のほうが効果的です。
おすすめ設定とその理由
どこでも通用する万能の値はありません。以下は、アプリ自身の初期値やヒントをもとにした出発点です。回線に合わせて調整してください。
| 設定 | 出発点 | 理由 |
|---|---|---|
| プロトコル | 接続が2本以上ならsrtla://、それ以外はsrt:// | SRTLAが役立つのは、接続が複数あり、サーバーが対応している場合だけです。 |
| コーデック | スマホ、アプリ、配信用PCが対応していればH.265/HEVC、そうでなければH.264 | Moblinによると、HEVCは同じ画質なら一般に必要な帯域幅が少なくなります。RTMPは一般にH.264しか扱えませんが、SRTならHEVCも送れます。 |
| 解像度とFPS | 1080p、30 FPS(Moblinの初期値)。60 FPSは、安定した高速アップロードがあるときだけ | 画素数とフレーム数が増えると、必要なビットレートも増えます。また、Moblinによると、FPSを下げると暗い場所で映像が明るくなります。当社のサーバーは最大1080p、60 fpsに対応しています。 |
| ビットレート | Moblinは、まずまずの画質なら5〜8 Mbps程度で足りることが多いとしています。安定したアップロード速度を超えない値にします | 回線が出せる速度を超えるビットレートは、映像の乱れや欠落を招きます。配信ソフトの出力ビットレートにも合わせてください。 |
| アダプティブビットレート | オン | 回線が悪くなると、フレームを落とす代わりにアプリがビットレートを下げます。Moblinでは、BELABOXとFast IRLのアルゴリズムが最も安全な選択肢とされています。 |
| SRTレイテンシー | 2秒(2000 ms)がおすすめ。回線が悪いときは高めに。Moblinの初期値は3000 ms | レイテンシーとは、SRTがパケットを再送したり並べ替えたりするための時間です。2秒は安定性を優先してあえて勧めている値で、これより低くもできます。アプリによってはマイクロ秒単位の入力になり、その場合は2000000と入力します。Moblinは、独自のSRT実装が1000 ms未満ではうまく動かないと警告しています。低い値にしたいなら、Official実装に切り替えてください。 |
| アプリはフォアグラウンド | アプリを開いたまま、画面をオンにしておく | バックグラウンドでは映像を取り込めないため、Moblinは音声と静止したフレームしか送れません。 |
よくあるエラーと対処法
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| まったく接続できない | URLやストリームIDのタイプミスや空白、ポート違い、プロトコル違い、またはOBS用のアドレスをコピーしてしまった | ポータルから値をもう一度コピーし、スマホ用の値を使います。まずストリームIDを確認してください。 |
| 接続はできるが、使われる回線が1本だけ | srtla://ではなくsrt://を使っている、接続がオフになっている、Wi-Fiまたはモバイル回線が無効になっている | srtla://を使い、Moblinで接続の優先度を確認します。回線を1本ずつオフにしてテストしてください。 |
| 映像がブロックノイズだらけ、またはカクつく | ビットレートがアップロード速度を超えている | ビットレートか解像度を下げ、アダプティブビットレートをオンにして、レイテンシーを上げます。 |
| 回線が悪い場所で頻繁に途切れる | レイテンシーが低すぎて、失われたパケットを再送できない | レイテンシーを少しずつ上げます。MoblinのMoblin実装では、1000 ms未満の値は避けてください。 |
| 予備のAndroidスマホのテザリングで動かない | Big packets | MoblinのSRT(LA)設定で、Big packetsオプションをオフにします。説明によると、一部のAndroidのテザリングはこのオプションに対応していません。 |
| URLは合っているのにサーバーに届かない | 使っているネットワークでのDNS検索、またはIPv4/IPv6の扱い | MoblinのSRT(LA)設定で、別のDNS lookup strategyを試します。たとえばIPv4です。 |
| アプリを切り替えると映像が止まる | アプリがバックグラウンドにある | 配信アプリはフォアグラウンドにしておいてください。 |
IRL ProとMoblin以外の選択肢
SoftvelumのLarix Broadcasterは、iOSとAndroid向けの無料モバイルアプリです。製品ページには、latency、maxbw、streamidのパラメーターを持つSRTのほか、RTMPなどのプロトコルが載っています。SRTLAボンディングは掲載されておらず、HEVCはプレミアム機能です。ボンディングが不要なら、どちらのプラットフォームでも選択肢になります。スマホアプリより専用ハードウェアがよければ、BELABOXやLiveUなどのエンコーダーもあります。
自宅にPCがない場合は、IRL 配信サーバーがクラウドでOBS Studioを動かし、スマホからの同じRTMP、SRT、SRTLA入力を受け付けます。IRL配信の全体像は、IRL配信ガイドをご覧ください。
FAQ
IRL Proは無料ですか?
はい。IRL ProはGoogle Playで無料として掲載されています。Moblinも無料です。App Storeのページには、すべての機能が無料で、購入できるのは見た目のカスタマイズだけと書かれています。
iPhone版のIRL Proはありますか?
IRL ProはAndroid向けにGoogle Playで配布されています。iPhoneで対応するアプリはMoblinで、こちらもSRTとSRTLAのボンディングが使えます。
SRTLAは必要ですか?SRTだけで足りますか?
安定した接続が1本ある場所から配信するなら、SRTで足ります。SRTLAが役立つのは、移動しながら配信し、接続が2本以上ある場合です。たとえば別キャリアのSIMカード2枚です。サーバーがSRTLA入力に対応していないと動きません。
IRL ProとMoblinでは、どのビットレートにすればいいですか?
Moblinは、まずまずの画質なら5〜8 Mbps程度で足りることが多いとしています。安定したアップロード速度を下回る値を選び、配信ソフトの出力ビットレートに合わせてください。接続が不安定なときは、アダプティブビットレートが役立ちます。
サーバーを使わず、Twitchに直接配信できますか?
はい。どちらのアプリもプラットフォームに直接送信できます。欠点は、接続が切れるとプラットフォーム上の配信が中断されることです。間にサーバーを挟むと、配信ソフトが送信を続けるため、短い中断ならプラットフォーム上の配信はオンラインのままです。