IRL配信がよく途切れる?電波が悪くてもライブを続ける方法
2026年10月09日 · 読了目安 1 分
目次
IRL配信が何度も途切れるなら、確実な対策は映像をプラットフォームへ直接送らないことです。まずサーバーに送り、そこからOBSでTwitchやYouTubeなどに配信します。自動シーン切り替えを使えば、スマホがオフラインの間は待機用のシーンを表示できます。
モバイル回線は完全には予測できず、途切れはいつか必ず起こります。このガイドでは、直接配信で途切れるとどうなるか、配信を続けるにはどんな対策があるかを解説します。
IRL配信が途切れるとどうなる?
スマホやエンコーダーからプラットフォームへ直接配信している場合、その1本の回線が配信のすべてです。回線が切れると、プラットフォームに映像が届かなくなります。視聴者には固まった画面かオフラインのチャンネルが表示され、配信は終了します。電波が戻ったら新しく配信を始めることになり、その間に離れた視聴者は自力で戻ってくるしかありません。プラットフォーム上の録画も、複数に分かれてしまいます。
プラットフォーム側にも、多少の猶予はあります。たとえばTwitchにはDisconnect Protectionという機能があります。再接続している間、最大90秒にわたって視聴者にメッセージを表示し、録画されるVODも途切れずにつながったままになります。90秒以内に再接続しなければ、通常どおり配信が終了します。Twitchは、対応エンコーダーとしてOBS Studio、Streamlabs OBS、XSplit、Twitch Studio、モバイルアプリを挙げており、自分の環境で事前に簡単なテストをするよう勧めています。
短い瞬断なら、これで乗り切れます。ただ、トンネルや圏外では90秒はあっという間で、ほかのプラットフォームでは挙動が違う場合もあります。
IRL配信が途切れる原因
途切れの原因は、ほとんどが次のいくつかです。
- 圏外の場所:トンネル、アンダーパス、厚い壁、地下室、郊外など、電波が弱い、または届かない場所です。
- 基地局のハンドオーバー:車、電車、自転車で移動すると、スマホは基地局を切り替えます。このとき、短い途切れや遅延の急増が起こることがあります。
- イベント会場の混雑した基地局:人が多いと、大勢のスマホが同じセルを共有します。アンテナ表示は問題なくても、配信に使えるアップロード容量は小さくなります。
- 高すぎるビットレート:配信のビットレートは、実際に出るアップロード速度より余裕を持って低くする必要があります。モバイルのアップロードは変動するため、ソファの上で問題なくても、路上では失敗することがあります。
- バッテリーと熱:日差しの下で映像をエンコードするスマホは、熱くなって動作が遅くなることがあります。バッテリーが切れれば、配信は予告なく終わります。
送信側でできること
ビットレートを下げて、自動で調整する
スマホが許す最大値ではなく、歩きながらでも維持できるビットレートを選びましょう。止まってしまう1080pより、安定した720pのほうが視聴者には快適です。IRL配信アプリの多くは、回線が悪くなると自動でビットレートを下げる適応ビットレートにも対応しています。たとえば無料のiOSアプリMoblinは、SRT(LA)、RIST、RTMPで適応ビットレートに対応しているとしています。
複数の回線をボンディングする
ボンディングは、異なるキャリアのSIMカードなど複数の回線を、1本の配信にまとめる仕組みです。これを実現するオープンなプロトコルがSRTLAです。GitHubプロジェクトによれば、リンクアグリゲーション機能を備えたSRTトランスポートプロキシで、モバイルモデムのボンディング向けとされています。回線が同時に落ちない場合に、最も効果を発揮します。すべての回線が同じ圏外にいるなら、役に立ちません。
パケットロスに強いプロトコルを使う
SRT(Secure Reliable Transport)は、不安定なネットワーク向けに設計されています。プロジェクトページでは、再送要求によるパケットロスからの回復と、変化するネットワーク状況への適応が説明されています。回線が悪いときの品質は上がりますが、存在しない帯域を生み出すことはできません。安定させるには、エンコーダーでキーフレーム間隔を2秒、SRTレイテンシーも2秒に設定します(機器やソフトによって、2000ミリ秒または2000000マイクロ秒で入力します)。もっと低い値も使えますが、2秒は安定性を優先した値です。
| 対策 | 効果がある問題 | 限界 |
|---|---|---|
| ビットレートを下げる、または自動調整する | 回線の混雑、弱い電波 | 完全な圏外では効果なし |
| ボンディング(SRTLA) | 1本の回線の不調、ハンドオーバー | すべての回線が同じ圏外なら効果なし |
| 単なるRTMPではなくSRT | パケットロス、ジッター | 帯域は生み出せない |
| 間にサーバーとOBSを置く | 完全な切断、VODの分割 | サーバーとOBSが必要 |
最初の3つは、電波が切れる頻度を減らします。最後の1つは、それでも切れたときに視聴者へ何が見えるかを決めます。
足りない1ピース:スマホとプラットフォームの間のサーバーとOBS
スマホからプラットフォームまで壊れやすい1本の経路で結ぶ代わりに、経路を2つに分けます。スマホは映像をサーバーに送ります。OBSがそのサーバーから映像を受け取り、安定した回線でプラットフォームへ送ります。スマホの電波が切れても、OBSは配信を続けているので、プラットフォームとの接続には影響しません。視聴者は、そのときOBSが表示しているシーンをそのまま見続けます。
運用方法は2つあります。
- IRL エンドポイントサーバーでは、OBSを自宅などの自分のパソコンで動かします。エンコーダーもOBSも、サーバーへ外向きに接続するため、ポートを開けたりルーターの設定を変えたりする必要はありません。
- IRL 配信サーバーでは、フル機能のOBS Studioがクラウドで動くため、自宅に高性能なパソコンは要りません。カスタマーポータルからリモートデスクトップで接続し、Webベースのコントロールパネルで、スマホのブラウザからでも配信を管理できます。
どちらもRTMP、SRT、SRTLAの入力に対応し、最大1080p・60fpsの配信をサポートしています。
自動シーン切り替えの仕組み
サーバーはプラットフォームへの配信を維持しますが、何が起きているかを視聴者に伝えてはくれません。入力映像が消えると、何かがシーンを切り替えない限り、OBSは固まったフレームか黒画面を出します。それを担うのが自動シーン切り替えです。
自動シーン切り替えは、OBSの3つのシーンで動きます。当社のサーバーでは、Start、Live、Lowという名前です。
- Start:サーバーに信号が届いていない間に表示する静止画です。音楽を付けても構いません。
- Live:カメラ映像とオーバーレイを使う、通常のシーンです。受信ストリームを映すソースが入っています。
- Low:ビットレートがしきい値を下回っている間に表示します。「接続が不安定です」などの一言を添えた同じ映像、といった使い方ができます。
小さなツールが、サーバー上で受信ストリームのビットレートを監視します。ビットレートがしきい値を下回ると、OBSをLowに切り替えます。信号がまったく届かなくなったらStartに切り替え、ストリームが安定したらLiveに戻します。
自作環境向けのオープンソース例:NOALBS
環境を自分で組むなら、この用途で最もよく知られたオープンソースのツールがNOALBS(MITライセンス)です。NOALBSは独立したプロジェクトです。後述する当社のサーバーのツールは自社開発で、NOALBSとの互換性はありません。NOALBSのドキュメントによれば、Windows、macOS、Linux向けの単一の実行ファイルで、インジェストサーバーの統計から読み取ったビットレートをもとに、OBSのシーンを切り替えます。低ビットレートと完全な切断の両方に対応し、Nginx、Node-Media-Server、SRT Live Server、BELABOX cloud、MediaMTXなど、複数のインジェストサーバーをサポートします。OBSとの連携にはOBS WebSocket 5を使います。
サンプル設定で重要な項目は、次のとおりです。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| switchingScenes | OBSでの通常、低ビットレート、オフラインの各シーンの名前 |
| triggers.low / triggers.offline | lowシーンとofflineシーンへ切り替えるビットレートのしきい値(kbps) |
| triggers.rtt / rttOffline | SRT向けの任意の遅延しきい値(ミリ秒) |
| retryAttempts | 切り替えるまでの連続チェック回数。NOALBSは1秒に1回チェックするので、5なら約5秒です |
| instantlySwitchOnRecover | ビットレートが回復したときの待ち時間を省略します |
| offlineTimeout | 任意:オフラインシーンのまま設定した分数が過ぎると、OBSの配信を停止します |
NOALBSには、Twitch向けの任意のチャットコマンドもあり、自分やモデレーターがチャットからシーンを切り替えたり、lowのしきい値を変更したりできます。切り替えるのは、OBSが設定済みのシーンのどれかを表示している間だけなので、イントロなどのシーンが上書きされることはありません。
当社のIRLサーバーに含まれるもの
当社のIRLサーバーは、どちらも自動シーン切り替えを備えているので、自分で環境を組む必要はありません。自社開発のツールで、NOALBSではありません。前述の3つのシーンで動き、サーバーに信号が届かない間はStart、ストリームが安定していればLive、ビットレートがしきい値を下回ればLowになります。動き方はサーバーによって異なります。
- IRL エンドポイントサーバーでは、カスタマーポータルでツールを生成してダウンロードします。自分のパソコンでOBS Studioと並行して動かし、OBS 28から標準搭載されたOBS WebSocket機能が必要です。この機能を有効にし、付属の手順に沿ってツールをOBS Studioに接続して、配信前に起動します。接続に問題が起きるとシーンを切り替え、接続が安定したらLiveに戻します。動作するのはWindowsとmacOSのOBS Studioだけで、vMixやStreamlabs OBSでは使えません。
- IRL 配信サーバーでは、シーン切り替えがサーバー上で動き、シーンはあらかじめ設定されています。クラウドサーバーには、Start、Live、Lowのほかに、Break、End、Refreshのシーンもあります。Web管理パネルから手動でBreakやEndに切り替えることができ、その間は自動切り替えが止まり、Liveに戻すと再開します。
どちらのサーバーも、注文時にTwitchチャンネルを入力すれば、任意でTwitchチャットボットを利用できます。自動シーン切り替えはチャットで告知されます。視聴者は!bitrateで現在の受信ビットレートを確認でき、モデレーターは!refreshでストリームを短時間リロードできます。自分やモデレーターが、チャットコマンドで開始、停止、更新、シーン切り替えを行うこともできます。
ビットレート表示はブラウザソースとして使えるので、現在の受信ビットレートをOBSのオーバーレイとして表示できます。
シーン切り替えは、電波が切れている間も視聴者に状況を伝えます。電波そのものを戻すわけではないので、前述の対策も引き続き大切です。
しきい値の決め方
万能な値はありません。適切なしきい値は、機材とモバイル回線によって変わるからです。当社のIRLサーバーのシーン切り替えは、標準では800 kbpsを下回るとLiveからLowに切り替わります。この値は変更でき、たとえばTwitchのチャットコマンド!trigger 500で設定できます。参考までに、NOALBSのドキュメントのサンプル設定では、lowが500 kbps、offlineが450 kbpsです。
自分の値を見つけるには、回線の悪い場所でテスト歩行をします。映像がカクつき始めるビットレートを記録し、しきい値はそれより少し上に設定しましょう。歩行中に、シーンがLiveとLowの間を行ったり来たりしないかも確認してください。
ライブ前のチェックリスト
- 配信する時間帯に、ルートや会場でテスト歩行をします。使う予定のビットレートで試しましょう。
- 持続的なアップロード速度より余裕を持って低いビットレートに設定し、アプリが対応していれば適応ビットレートを有効にします。
- アプリが対応しているなら、単なるRTMPではなくSRTかSRTLAを使います。
- エンコーダーで、キーフレーム間隔を2秒、SRTレイテンシーを2秒に設定します。
- 可能なら、2つの異なるキャリアのSIMカードかボンディング環境を使い、配信する場所にいちばん近いサーバーの設置場所を選びます。
- OBSでStart、Live、Lowのシーンを作り、この名前のとおりに付けます。ほかのツールを使う場合は、その設定にシーン名を合わせます。
- OBSを自宅のパソコンで動かす場合は、受信する映像(ダウンロード)とプラットフォームへ送る映像(アップロード)の両方を、その回線でさばけるか確認します。
- 全体をテストします。モバイルデータをオフにするか、機内モードを30秒間有効にして、シーンが切り替わって元に戻るかを確認しましょう。
- バッテリーは満充電で始め、モバイルバッテリーを持ち歩き、スマホの通気を確保して、省電力モードが配信アプリの邪魔をしないか確認します。
- 追加の保険として、Twitch Disconnect Protectionなどのプラットフォームの保護機能を有効にし、モデレーターにチャットコマンドを共有しておきます。
ハードウェア、アプリ、設定の選び方については、IRL配信ガイドで詳しく解説しています。
FAQ
IRL配信が何度も途切れるのはなぜですか?
主な原因は、電波が弱い、または届かないこと、移動中の基地局のハンドオーバー、イベント会場の混雑した基地局、実際のアップロード速度を超えるビットレート、そしてスマホの発熱やバッテリー切れです。予定している設定でテスト歩行をすると、どれが当てはまるか分かります。
プラットフォームの切断保護はどれくらい続きますか?
Twitchでは、Disconnect Protectionがメッセージを表示しながら、最大90秒間、配信をオンラインに保ちます。それまでに再接続できなければ、配信は終了します。間にOBSを置いたサーバー構成には、この制限がありません。プラットフォームには、OBSから途切れのない配信が届き続けるからです。
サーバーを使う場合でもボンディングは必要ですか?
解決する問題が違います。ボンディングは、スマホからサーバーまでの接続を安定させます。サーバーとOBSは、その接続が切れてもプラットフォーム上の配信を維持します。両方を組み合わせると、最も安心です。
何kbpsでLowシーンに切り替えるべきですか?
機材とモバイル回線によって変わります。当社のIRLサーバーの標準値は800 kbpsで、たとえばTwitchのチャットコマンド!trigger 500で変更できます。ほかの環境の数値をそのまま使わず、テスト歩行で自分の値を見つけましょう。映像が目に見えてカクつき始めるビットレートより、少し上にしきい値を置きます。
自動シーン切り替えはどんな配信ソフトでも使えますか?
IRL エンドポイントサーバーのシーン切り替えツールは、WindowsまたはmacOSのOBS Studioと組み合わせた場合に限り動作し、vMixやStreamlabs OBSでは使えません。別のオープンソースツールであるNOALBSも、OBS WebSocket 5を通してOBS Studioで動作します。vMixなどのソフトでも配信を受け取ることはできますが、自動切り替えはありません。